高齢者の歩行能力低下の原因

高齢者の身体の変化には、歩行能力の低下も挙げられます。なぜ、年を取ると歩きにくくなるのか、主な原因について説明します。まず、筋肉の衰えが大きな要因でしょう。特に足の筋肉が弱くなると、歩くための力が不足しがちです。これにより、長い距離を歩くことが難しくなったり、階段を上るのに苦労したりすることが増えます。また、筋肉が弱くなるとバランスを保つのも難しくなり、転びやすくなります。

次に、関節の問題も歩行能力の低下につながります。年齢を重ねると、関節の軟骨がすり減り、関節炎などの症状が出やすくなります。特に膝や腰など、歩行に直接関わる関節に問題があると、無意識のうちに歩き方を変えてしまい、さらなる痛みや不快感を生じることがあります。さらに、骨の密度が低下する骨粗しょう症も、歩行能力に影響を及ぼします。骨がもろくなると、活動を控えるようになり、ますます筋力や体力が低下してしまうという悪循環に陥ることもあります。また、視力や聴力の低下も無視できません。視力が低下すると、足元や周囲の状況が見えにくくなり、つまずきやすくなります。聴力が低下すると、周囲の音に気づきにくくなり、危険を察知するのが遅れることがあります。これらの感覚の低下は、歩行中の安全性を損ないます。

そして、心臓や肺の機能の低下も影響します。心肺機能が衰えると、持久力が落ち、長時間歩くことが難しくなってしまうのです。息切れが早くなったり、疲れやすくなったりするため、外出を億劫に感じるようになります。これもまた、活動量を減らす原因となり、さらに身体能力が低下することにつながっているのです。